「ステロイドを塗りたくないと言ったら小児科の先生と言い争いになってしまって…」
かなり落ち込んだ様子で電話をいただいたことがありました。
お子さんの年齢は11カ月でした。
「どうして使いたくないんですか」とお聞きすると「だって使うとひどいことになるって聞いたから」「誰から?」「ママ友かも」そんな会話がずっと続いて、「ひどい」ってどんなことなのかわからないし「根拠」は確かめたことがないことがわかりました。
小児科の先生からは、「皮膚が傷だらけの時に食べ物に接触するとそこからタンパク質が吸収されて食物アレルギーになることだってあるんだから、今きちんと治療しないと赤ちゃんが大変なんだよ」と言われたそうです。
「そんなことネットの情報には出ていないでしょ?」とお母さんは涙声になっています。
大事なことがインターネット上にあるとは限らないと思いませんか?
お医者さんは専門の学会で発表されたものや論文に書かれたものを確認して日々の治療に生かしているのではありませんか?
先生が話していることは最新の知見かも知れません。
その他の例でも「ステロイドを短期集中で使って皮膚の状態をよくしてから赤ちゃんの生活環境にあふれているアレルゲン対策をして成果をあげた例」がいくつも報告されています。
確かに、成人のアトピー性皮膚炎の患者さんが何十年もステロイドを継続使用して皮膚が肥厚してしまったとか、ステロイドに対して耐性ができて子どもの頃は5段階の一番低いものを使っていたのに、今ではストロングという一番強いのになっていて薬を使いたくないけれど止めることができないといった、つらい状態のお話しを聞くことはあります。
ステロイドは手放しで楽観的に使える薬ではないのは確かです。
でも治療の成功事例のように目的をもって医師が管理して使うものと考えれば、根拠なく避けるものでもないのではないかと思います。
どうしても不安感がぬぐえないのなら「どのくらいの期間使うのか確認」し「その期間が来たら先生と話し合い、継続するかどうか一緒に考えてほしい」と伝えてはどうでしょう?
喧嘩してすぐのタイミングでお医者さんに会うのが気まずかったら、数日たって落ち着いてから会いに行くのでもいいと思います。
話す自信がないときは、必ず伝えたいことを箇条書きにして、そのメモを見ながら話してみたら?