新型コロナ感染症がⅡ類からⅤ類になって沢山の人が街や観光地に出かけるようになりました。
ただ、大規模施設や地域のスーパーマーケットや商店街を歩いてみると、手指消毒はまだ励行されているようです。
学生の皆さんに聞いてみると「出入り口付近に置いてある消毒薬スタンドを見ると、条件反射で必ず使ってしまうので、複数店舗が入る施設ではさらにあちこちで消毒してしまう」という人が何人もいました。
その中に「そのせいでこんなになってしまった」と笑いながら両手を見せてくれた子の手を見て、居合わせた学生は皆驚きました。
全部の指先にテープが巻かれていて、指の関節の間もあちこちにタテの亀裂が入っていてカサ蓋があり、指の付け根も血がにじんでいました。
「どうしてこんなになっても消毒しちゃうの?」と筆者は思わず叫んでしまいました。
高校生の彼女は家族と買い物に出かけるのが好きで、コロナ禍も気にせずお店巡りをするためには、まわりに見とがめられずに消毒したほうが手っ取り早いと思ったのだとか。
「最初の頃の傷はちょっとだけだったから、お店の人から『消毒をお願いします』といわれるとお母さんが『しょうがないからやっとけば』と言うのでシュッとやってたんですけど悪くなる一方で。傷が増えてくるとお母さんが『この子は傷があるので』とまわりに言い訳するのがいやで『別に平気だよ』とか言ってシュッとやってたらこんなことになっちゃいました。」
こうなって3年も経つと今更な感じがあって、周りの人にいちいち言うのも嫌だからシュッとしてしまう気持ちはわからなくはありません。
ただ、知り合いの看護師さんでアルコール消毒が原因で手が腫れあがり時々蕁麻疹も出ていたのに、職業柄それを避けることができずにいたら、元々あったアトピー性皮膚炎が悪化して数年間休職した人がいました。
その人は、休職の間に全身に広がっていたアトピー性皮膚炎が落ち着いたので復職したら、また1週間程度の短期間で元の悪い状態に戻ってしまって看護師を続けられなくなりました。
この高校生が看護師さんのようにアルコール消毒薬によるアレルギーになると決まったわけではありませんが、同じ原因物で繰り替えし傷をつくっていると、それが引き金となってアレルギー反応を起こすようになってもおかしくはないのです。
こんな看護師さんの例もあるよと説明し
「傷が治るまでシュッとするのはやめたほうがいいよ。注意されそうになったら、今やってくれたみたいに顔の前に両手を広げて傷や絆創膏を見せるといいと思う。」
「お母さんも心配しているんだから。お母さんの言い訳が嫌なら少し離れて入店して、店内で合流すればいいんだよ。」
と話すと「あーそれいいですね」と彼女は答えてくれました。
本当に実践しているかなあ。少し心配です。
感染症対策は大事ですが、同調圧力はよくないしそれを作っているのは案外自分かも知れません。
どうかよくなりますように。