株式会社日本免疫粧研 / JAPAN IMMUNITY COSMETICS LABO

Column

子育てとアトピーと

電話相談の話題や子育て中の出来事などにふれながら、様々なテーマについて考えます

「自分でできる」を待つ時間

毎年8月に2泊3日のキャンプを開催しています。参加者60人、ボランティアとスタッフも60人。

山の水が浅く流れる沢でたくさん遊んだ後や、近くの温泉で着替える時など、アトピー性皮膚炎がある子どもたちやボランティアの人たちは、保湿剤を塗ったり包帯を巻いたり、自分なりのスキンケアをします。

このキャンプに参加して初めて自分一人でスキンケアをする子どもたちもいますが、スタッフはそばで見守るだけです。

私たちのサポートは、子ども自身が自分なりのペースで、保護者や医師から指示されたことを一人でやり切れるように、ひたすらそばで見守ります。

残念なことですが、学校や保育園では時間割がありスタッフも多くないため、他よりも手間のかかる子を待ってくれることはほとんどありません。

学校ではさっとやって、家に帰った時もう一度保護者と一緒に薬を塗ったり包帯をしたりする人がほとんどです。ですから1人で頑張るチャンスは実はあまりないのです。

そのため「待つ時間をとる」ことは、私たちの「患者中心のプログラム」では欠かせない取り組みになっています。

ただ、子どもたちは友達と一緒にいると薬を塗りかけているのに遊びだしたり、親切なボランティアのお兄さんお姉さんに甘えて、いつもなら自分でできるのに「できない」と言って涙を浮かべたり、ボランティアの学生たちはきりきり舞い、うまくいったりいかなかったりの連続です。

各自の飲む薬や塗布薬、吸入薬の詳細については、保護者から事前に聞き取りをしていますが、私たちは治療やケアに対して指示や強制をしないので、子どもたちは薬を飲み忘れる時もありますし、適当なケアをするときもあります。

そのあとで困った状態になった時、リカバーできるようにサポートすることが大切だと考えています。

本人は「薬を飲み忘れたからこんなことになっちゃって」とか「昨日適当にやっちゃったからかき壊した」などと思い当たる理由をぼやくことがあります。

ちゃんとやっておけばよかったという後悔が、小さな背中ににじみ出ています。

「自分でやることは大事だね」「あした頑張ろう」「今ちゃんとケアしたら明日は大丈夫」ボランティアはそんな言葉を投げかけながら子どものやる気を応援します。

本人は失敗したり、決意したりしながらなんとか3日間をすごします。
その時自信を持つと、子どもたちの表情はとても明るくなります。帰るときの子どもたちの明るい表情を見て、私たちスタッフも支えられています

今年はコロナウィルス感染対策のため、宿泊を伴う行事の開催は難しそうです。
今年は自宅でお父さんやお母さんが、「待つ時間」をたくさん作れるといいなと思っています。

Column List

    繊細な男ごころ?(1)

    繊細な男ごころ?(2)

    災害支援でであうこと

    災害弱者支援のこと

    綿毛布と衣類のこと

    電話相談の記録から―

    お母さんのケアにも応援が必要

    おっぱいをやめればアトピーが治る?

    箱ティッシュのこと

    憂鬱や不機嫌はアトピーのせい?

    「すすぎ残りなし」のこと

    処方された薬を勝手に止めてみたものの

    良かれと思われることがつらい

    指先が少し憂鬱

    紙おむつと布おむつどっちがいいの?

    お父さんと娘さんの仲直り

    思春期の身だしなみ

    絆創膏が使えない

    窓を閉め切っていませんか?

    食生活と皮膚のこと

    消毒のし過ぎで手荒れがひどくなった

    マスクで思い出したことがあります

    「自分でできる」を待つ時間

    お化粧したいのに

    化粧したがる我が子に腹が立つ

    残留塩素とかゆみのこと

    子どもの言い分、親の心配。

    たかが耳切れ、されど耳切れ

    「入店お断り」の感染対策のこと

    就職したら肌トラブルが始まった

    痒い場所は身体のシグナルかもしれない

    二重マスク・抗菌マスクのこと

    もう一度洗い残しのこと

    アトピー性皮膚炎は遺伝するのかな

    ニョロニョロはもういない

    大きくなったら治るといわれても

    汗をかく部活動はやめさせるべき?

    動物を飼うこと

    母の手際と猫のこと

    偏食で痩せている-お父さんのチャレンジ-

    偏食で痩せている-責められていると感じるお母さん-

    偏食で痩せている-世の中と折り合いをつける-

    お風呂は悩みの種だった

    コロナ禍でもお医者さんとの対話をやめないで

    アトピー性皮膚炎の再発に気持ちが揺れる

    汗をかきたくなくてじっとしているわが子が心配(1)

    汗をかきたくなくてじっとしているわが子が心配(2)

    プールに入ったら塩素を洗い流し保湿しよう

    関連疾患とのおつきあい(1)

    関連疾患とのおつきあい(2)

    卵アレルギーとストロフルスのこと

    とびひのこと

    抗アレルギー薬のこと

    薬のこと「本当にそれでいいのかな?」

    動物が人里に持ち込むマダニやヒルのこと

    杉の木もないのに春先は目の周りがヒリヒリ

    春先のアトピー性皮膚炎の悪化をわかってもらえない

    ラテックス対策が必要でした

    傷だらけでもついやってしまうシュッ

    もう一度「薬のこと」

    ステロイドのこと

    かゆい眼鏡(1)

    かゆい眼鏡(2)

    新素材のこと(1)オムツ

    新素材のこと(2)食事エプロンやスタイ

    ビタミン補給と二人三脚

    扱いづらい身体のことをお父さん分かってよ

    頬が切れて痛々しかった

    成長と共に傷になる場所が変化した

    皮膚は記憶している?

    ステロイドのこと

    肌着には血や浸出液がついていました

    肌に優しい洗剤探し

    肌に合うもの探しは延々と続く