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処方された薬を勝手に止めてみたものの

「小学校3年生の娘が数年前に花粉症になってから、アトピー性皮膚炎がとてもひどくなった。
今年は特に春先から症状が重くなった。ステロイドとプロトピックを体の部位によって使い分けていたが、思い切って薬を使うのをやめてみた。

今はステロイド軟こうを塗るのをやめて2週間たったところ。最初は何でもなかったが昨日から少し悪くなってきた感じがする。

インターネットやSNSで情報を見ていると心が揺れ動いて不安になる。これからどうしたらいいだろう。」そんなお電話が来ました。

電話をくださった方は、数年間、医師とは話し合うことはあまりなく「ちょっと悪くなっているから薬を変えますね」とか「ここは薬を塗り分けて使ってね」と言われる以外は、病院に行けば薬を出されるだけの状態で数年間を過ごしたそうです。

そのことに不安といら立ちをため込んでいる様子でした。

薬の選択は医師と患者が話し合って、納得できるものを選ぶということが大切なはず。

でも実際のところは医師の指導に納得していなくても、とにかく治療は進んでいき、不安な気持ちが日々膨らんでいってしまう人は、もしかしたたくさんいらっしゃるのかもしれません。

症状が改善していたとしても、個人の経験が素のままにさらされるインターネットの情報を見ていると、極端にひどい人も、平均的な治り方をしている人も、あっさり治った人も、区別なく同等な情報としてあふれているので、「うちの子はこのままでいいのだろうか」という不安な気持ちに、誰かが具体的に答えてくれるわけではないことが分かってきます。

そうなるとお父さんやお母さんは、極端に悪い人の情報を見て
「せめてこうならないようにしてやりたい」
という気持ちに打ちのめされてしまうのかもしれません。

ステロイドは難しい薬です。

たくさんのアトピー性皮膚炎の方のはなしを聞いているとつくづくそう思います。

もしもどうしても継続して使うのをやめたいのなら
「漸減する(だんだん減らして最終的に使用しないようにする)」ことを目標にお医者さんと話し合わねばなりません。

ステロイドを突然やめることは、患者本人の身体にとって一番よくないやり方なのではないかと思います。

どのくらいの期間で漸減するのか、どのくらいの期間この薬を使い続けるのか、気になること、不安なことは、丁寧にお医者さんに説明してみませんか?

この時のお母さんにはそんな話をしました。

もしうまく話し合いができて、実際に「このくらいの期間で漸減しよう」と話し合いができたら、まずはその期間を医師の指示通りに進めてみて、もし経過が思ったよりも悪かったらまた医師と話し合うことをあきらめずに続けてほしい。

もしかしたら「勝手に薬をやめた」と怒られるかもしれませんが、それは医師はお子さんを治すことに一生懸命だったのに裏切られた思いがしたのだろうと理解して、前に進んでほしいと思います。