脂漏性湿疹が広がっていて、皮膚がなかなか落ち着かないという5カ月の赤ちゃんのお母さんから電話がありました。
皮膚科にかかっていて真っ赤になった頬にはキンダベートが出されていて、頬はぴかっときれいになるときもあるけれど、すぐに真っ赤になってしまうのでどうしたらいいか悩んでいるとのことでした。
電話をくれた理由は、母乳をやめたらアトピーが治ったという人のブログをどこかで見た友人が、おっぱいをやめて粉ミルクに変えることを勧めるので、そうしようかなと思っていて念のために私たちに電話したというのです。
「ベビーオイルで頭をぺちゃぺちゃと優しく洗うような恰好で湿らせて、脂漏がカサブタのようになったものが浮いてきたら無理せず浮いた部分だけ取るようにする洗い方や、おっぱいにしかない免疫のことや母乳の役割を聞いたことがある?」という問いかけに、お母さんは聞いたことがないというので「小児科医と話したことはありますか?」とさらに聞くと、小児科に行くと感染症がうつるのではないかと不安で検診と予防接種以外は行かないとのことでした。
脂漏性湿疹が広がっていてなかなかひかないことも、ホッペを中心に全体が真っ赤な感じでステロイドの薬をぬってもすぐに症状がぶり返すことも、「アトピー」の可能性を示唆する出来事かもしれないけれど、小児科の先生はそんな赤ちゃんをたくさん診ているだろうから、おっぱいをやめるなんて重大なことを一人で勝手に決めてしまわない方がいいのじゃない?
おっぱいは、赤ちゃんの空腹を満たすだけじゃなくて子どもの生涯にわたっていろんな恩恵をくれるものだから、小児科の先生と話し合ってほしい。
きっと、経母乳感作というお母さんが食べたもののタンパク質が赤ちゃんに影響を与えるという話を聞いたから、「おっぱいをやめれば?」と友達が言ったのかもしれないけれど、それで母乳をやめなければならない事例は本当に特別な例で、科学的知識のあるお医者さんならおっぱいがくれる一生の恩恵を大事にして、母乳栄養を続けながら治療やケアをしていますよ。
とここまで話すと、お母さんは実はおっぱいが足りていない感じがして夜間は粉ミルクにしているけれど、どの銘柄も合わないらしくて下痢をしたり吐いたりするということも話してくれました。
できるだけ早く小児科に行こうね。
母乳は悪者じゃないから不安がらないで、きっといい方法が見つかりますよ。
そんな話をして受話器を置きました。