株式会社日本免疫粧研 / JAPAN IMMUNITY COSMETICS LABO

Column

子育てとアトピーと

電話相談の話題や子育て中の出来事などにふれながら、様々なテーマについて考えます

繊細な男ごころ?(2)

ひじの内側を中心にして広がっているアトピー性皮膚炎がよくなったり悪くなったりを繰り返すので、子どもはいつも筒形の網包帯をしていました。状態が悪いときは浸出液が出て包帯にくっつくので、皮膚からはがすことができなくてそのままお風呂に入ることもありました。お風呂上りにするっと取れるときもあれば、くっついたところをそのままにしてハサミで回りを切って外したり、大変だったこともあったように思うのですが、当時は親子で「やったね!するっととれた」とか「切り取ったデザインがステキ!」などとはしゃぎながら日々を過ごしていました。

包帯を清潔に保つために10本くらいの筒型の網包帯を駆使して、汗をかいたり汚れたりしたときは1日に何度も取り換えていました。保湿剤をぬってそのままの状態にしているとかゆいのに、網包帯をすると不思議にかゆみがなくなるので、包帯はまるで外側の皮膚の役割をしてすっかり欠かせないものになりました。

少し困ったのは、保湿剤の種類によって洗い落ちのいいものもあれば、黒ずんで残ってしまうものもあることです。皮膚になじむものほど包帯が黒ずんでしまう感じがしました。
予想通り「これ以上は白くならないよね?」と遠慮がちに子どもが訴えかけてきました。

学校には洗ったばかりの清潔な包帯をして行ったのに「きれいなのをした方が衛生的なんだよ」と友達が教えてくれたというのです。子どもは「洗ったばっかりなんだけどなあ」とは言えなかったのだろうと思います。

合成洗剤を使い、漂白剤を使えばある程度きれいになるのですが、それを使えばてきめんに子どもの皮膚が悪くなるのでなかなか思うようにいきません。そんな経緯があり、刺激のない石けんで洗い落ちのいいものをいつも探していました。これは素晴らしいと思うものに出会って数か月が過ぎたころ「母ちゃんこの臭い何とかならない?」と、再び遠慮がちな、しかし今度はかなりきっぱりとした抗議が来てしまいました。

べとついた薬も洗いきれるようになって白くて清潔な包帯になったのに、衣類が全部米ぬかの匂いがはんなりと残るようになってしまったのでした。すすぎをいっぱいしてもいまひとつ。ここは山がちな土地で、朝は明るくても日差しがさすのは9時過ぎから、午後は3時に日がかげるので外で干せる時間が極端に短く、それ以降の時間、洗濯物は室内で乾燥させるのです。多分これが災いしたのでしょう。そのうえフルタイムの働きバチとしては室外での干しっぱなしはできない相談なのです。

我が家の軒先には網包帯がいつもひらひらしていて、ムーミン谷に棲んでいるニョロニョロがいるみたいでした。白くてべとつかず嫌な臭いがしないという当たり前のテーマが乗り越えられず、情けない気持ちになって私はニョロニョロをながめていました。

Column List

    繊細な男ごころ?(1)

    繊細な男ごころ?(2)

    災害支援でであうこと

    災害弱者支援のこと

    綿毛布と衣類のこと

    電話相談の記録から―

    お母さんのケアにも応援が必要

    おっぱいをやめればアトピーが治る?

    箱ティッシュのこと

    憂鬱や不機嫌はアトピーのせい?

    「すすぎ残りなし」のこと

    処方された薬を勝手に止めてみたものの

    良かれと思われることがつらい

    指先が少し憂鬱

    紙おむつと布おむつどっちがいいの?

    お父さんと娘さんの仲直り

    思春期の身だしなみ

    絆創膏が使えない

    窓を閉め切っていませんか?

    食生活と皮膚のこと

    消毒のし過ぎで手荒れがひどくなった

    マスクで思い出したことがあります

    「自分でできる」を待つ時間

    お化粧したいのに

    化粧したがる我が子に腹が立つ

    残留塩素とかゆみのこと

    子どもの言い分、親の心配。

    たかが耳切れ、されど耳切れ

    「入店お断り」の感染対策のこと

    就職したら肌トラブルが始まった

    痒い場所は身体のシグナルかもしれない

    二重マスク・抗菌マスクのこと

    もう一度洗い残しのこと

    アトピー性皮膚炎は遺伝するのかな

    ニョロニョロはもういない

    大きくなったら治るといわれても

    汗をかく部活動はやめさせるべき?

    動物を飼うこと

    母の手際と猫のこと

    偏食で痩せている-お父さんのチャレンジ-

    偏食で痩せている-責められていると感じるお母さん-

    偏食で痩せている-世の中と折り合いをつける-

    お風呂は悩みの種だった

    コロナ禍でもお医者さんとの対話をやめないで

    アトピー性皮膚炎の再発に気持ちが揺れる

    汗をかきたくなくてじっとしているわが子が心配(1)

    汗をかきたくなくてじっとしているわが子が心配(2)

    プールに入ったら塩素を洗い流し保湿しよう

    関連疾患とのおつきあい(1)

    関連疾患とのおつきあい(2)

    卵アレルギーとストロフルスのこと

    とびひのこと

    抗アレルギー薬のこと

    薬のこと「本当にそれでいいのかな?」

    動物が人里に持ち込むマダニやヒルのこと

    杉の木もないのに春先は目の周りがヒリヒリ

    春先のアトピー性皮膚炎の悪化をわかってもらえない

    ラテックス対策が必要でした

    傷だらけでもついやってしまうシュッ

    もう一度「薬のこと」

    ステロイドのこと

    かゆい眼鏡(1)

    かゆい眼鏡(2)

    新素材のこと(1)オムツ

    新素材のこと(2)食事エプロンやスタイ

    ビタミン補給と二人三脚

    扱いづらい身体のことをお父さん分かってよ

    頬が切れて痛々しかった

    成長と共に傷になる場所が変化した

    皮膚は記憶している?

    ステロイドのこと

    肌着には血や浸出液がついていました

    肌に優しい洗剤探し

    肌に合うもの探しは延々と続く