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春先のアトピー性皮膚炎の悪化をわかってもらえない

花粉が飛ぶ季節になるとアトピー性皮膚炎がひどくなると感じているので、家からはできるだけ出ないようにしているSさん。

今年は1月下旬から外に出ていません。

例年は4月頃まで家にこもって何とかやり過ごしていました。

お母さんとお兄さんは「引きこもりはよくない」と思っていて、
「中学3年は大事な年だから授業に出るだけでなく学習塾にも通いなさい」
と厳しく諭します。

家族の厳しい態度に耐えかねたSさんが通学を再開すると、数日で元々アトピー性皮膚炎の症状があった場所は赤く熱を持った状態になり、その状態を我慢していたら顔が腫れあがってしまいました。

その極端な悪化を見て家族もようやくSさんの行動に理解を示すようになったそうです。

本人にしてみれば小学生の頃も同じようなことがあったので、「今更・・・」と思いましたが、家族は毎日症状を見ているのでいつもの症状と花粉飛散にさらされたときの症状の違いが判らなかったのかもしれません。

少しずつの変化には気づかなくても、劇的に変化すればよくわかるということなのかもしれません。

花粉は正午ごろの飛散が最も多く、朝早くや夜は比較的飛散は落ち着くと言われています。

そして雨の日は路面に落ちた花粉が雨で流されるので、路面からの再飛散もなく空気中に舞っている花粉は激減します。

花粉対策をしながら受験対策をするなら、夜間に勉強できる学習塾はありがたい存在となるかもしれません。

Sさんの症状悪化はつらかったけれど、その姿を見て学校の担任の先生も理解できたと思うので、学習塾の活用について相談しつつ花粉飛散も受験も乗り切ってほしいと思いました。

その後Sさんのお母さんと話す機会がありました。

「うちの子が引きこもりになるなんてありえないと、そのことばかり考えていて、子どもが色々説明していたことを真剣に考えていなかったような気がします」
と反省しきりでした。

お母さんは治療について悩んでいました。

今通院している皮膚科の先生からは「花粉症のことは耳鼻科に行って」と言われ、耳鼻科の先生は「皮膚の対策はわからない」と言いつつ抗アレルギー剤だけ処方してくれたそうです。

小児科に行ってこれまでの経緯をもう一度話して、それぞれの科に分断されてうまくいっていない感じがするので、担当科を超えて治療する方法はないか相談することを私たちは勧めました。

舌下免疫療法や減感作療法などいくつかの方法があるので、Sさんに適した治療は必ず見つかるはずです。

諦めないでチーム「家族」で頑張ってほしいと思いました。