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関連疾患とのおつきあい(2)

記録したり周りの人に説明を繰り返すことは「神経質な人」と言われる原因になり不本意ではありましたが、子ども自身の協力も幸いして、子どもが4歳になる頃には「特定の食物が原因で呼吸困難を起こしたり皮膚の症状が出る」ことを「嘘じゃない」「根拠のあること」と周りの人に理解してもらえるようになりました。

本人も給食の代わりに自分が食べられるものを持っていく「代替食持参」で公立保育園に通うことに慣れて、このまま無事に卒園できたらいいなあと感じる日々が少しの間続きました。

しかし人生はそんなに甘くない。

園庭でかけっこ用のラインを石灰で引いた日は鼻水が止まらなくなり、お昼寝の布団をみんなで敷き始めると決まって目をかゆがるようになり、動物園に遠足に行った日には手足に蕁麻疹が出て、呼吸がおかしくなりました。

内科で喘息様気管支炎と言われた後で、保育園の先生が勧める耳鼻咽喉科に行くとアレルギー性鼻炎だと言われ、環境抗原対策も頑張ってとエールを送られました。

食べ物に気を付けてスキンケアをまじめにやれば、いつかきっとうまくいくと思っていたのに、よくもまあ後からあとからいろんなことが出てくるものだと、少しがっかりしていると「ママとおんなじだったね」とうれしそうな顔をして子どもが手をつないでくるのです。

お医者さんと話し合う大人の会話に聞き耳をたてていたらしく「ママも『お布団を出すと鼻をかんで涙を拭いて忙しそう』だよ」と私の口ぶりを真似ながらつないだ手を振り回します。

耳鼻咽喉科の帰り道、私も小さい頃から眼科で目を洗い、耳鼻科で点鼻薬をもらい、歯医者さんに行くのが夏休みの行事だったことを思い出しました。

「アレルギー体質ってこうゆうことよね!」

その日、なぜか納得し気持ちがすっきりしてしまいました。

小学校の時に顎関節症と診断されてアレルギー関連ではない病院に初めて行きました。

週に1度3~4回通院したあたりで子どもが口の周りをかゆがるようになり、それは回を重ねる度にエスカレートしていき、ある日口の周りが赤く腫れあがり、じわじわと侵出液まで出てきました。

私が原因は何だろうと首をひねっていると「歯医者さんに行った日は口の周りが痛痒いんだ」と子どもがぼそっと言いました。

子どもは卵や乳製品が少しずつ食べられるようになった頃に新たにキウイフルーツがアレルゲンになりました。

交差抗原として反応する可能性があるのはバナナやラテックスだと医師から言われていましたが、バナナは何の問題もなく食べられていたので、交差抗原のことを私はすっかり忘れていたのです。

「もしかして先生は手袋して治療しているの?」と言わずもがなの質問をすると「もちろん」と答えが返ってきました。

念のため病院に電話して使っている手袋の素材がラテックスかどうか確認するとやはりそうでした。

子どもは医療用のラテックス手袋の接触でアレルギーを起こしていたのです。

「お医者さんに行くときは、アレルギーのことを丁寧に説明してあげなくちゃいけないね」

初診カードには今まであったことやアレルギーを起こす食べ物のことを全部書き込んだのに「先生だめじゃん」と本人は原因がわかって喜んでいましたが、私はまた反省とトホホの気分にさいなまれ、子どもの無邪気さに少し助けられたのでした。