ティーンズミーティングや保護者のおしゃべり会を開いています。
思春期を迎えた子どもたちはそれまであまり意識していなかった様々なことにこだわりが強くなったり気持ちを吐露したり、時には気分を爆発させたりするようになります。
それが、アイデンティティの発露や成長過程に必ず通る成長のあかしだということはわかっていても、治療やアレルギーの症状コントロールのことに関わると、親心はざわざわして平常心ではいられなくなってしまいます。
治療をめぐる親子の対立がきっかけで、親が不眠症になってしまったり、子どもが登校を嫌がったり、時には引きこもってしまったり、ささやかな出来事が深刻な事態に発展してしまうことすらあります。
新型コロナ禍がまん延する少し前のことですが、14歳男子でアトピー性皮膚炎がある子のお母さんから相談を受けました。
「汗をかくとかゆみが増し、それがきっかけでかきむしることになり、皮膚が悪化し悪循環が始まるので汗をかくことがこわい」
という話題は、ティーンズミーティングでもよく出てきます。
汗対策についてなんですけど、と言って話し始めたお母さんの話は、汗の話だけではなさそうでした。
小学生の頃は学校内でも扇風機の風がよくあたる場所に座らせてもらったり、冷房が効いている保健室で汗が引くのを待たせてもらったりと、いろいろな汗対策を本人も学校の先生も意欲的に取り組み、何とか暑い時期をやり過ごしてきたそうです。
ところが中学ではそうした工夫はできなかったため、夏以外の季節でも汗をかかないために「上着を脱ぐ」「ひたすらじっとしている」ことしか思いつかず、そのうち「体育を休む」「学校を休む」と発展していき、中2の6月から10月頃まで学校を休みクーラーの利く部屋からもまったく出てこなくなったのだそうです。
中学3年になっても同じ暮らしをしているので将来が不安になり、お母さんが私たちのところへ電話をしてきました。
本人は淡々としていて11月から春までは普通に学校にいくので引きこもりでもないし、学業も多分クラスの真ん中ぐらいの成績順位ではないかとお母さんは考えていました。
汗をかいたらできるだけ早くシャワーを浴びるか、ぬれタオルを固く絞って首回りや腕や腰のくびれなど汗のたまりやすい場所を拭くことである程度の対策はできます。
汗を拭いた後に保湿剤を塗るために、1日に何度も保健室を利用して汗対策をしている高校生の話も聞いたことがあります。
でも、学校を一定期間休んでしまうというお話を聞いて私たちも少し驚きました。
お母さんが心配なのは「学校に行かないこと」なのでしょうか。
「汗対策について学校で周りの人から協力を得ていないこと」なのでしょうか。
「家にいる時は自室から出てこないこと」なのでしょうか。
私たちは様々な質問をお母さんに投げかけました。