石けんの洗い残しがあると手足の指先や手のひらに水疱ができてしまうので、洗濯のすすぎは2回やり、お風呂で体を洗った後のすすぎも丁寧にやってきました。
うっかり水疱を作ってしまったときは、それが破けると痛いので、包帯で保護しなければなりませんでした。
水疱が破けた傷口自体は傷用絆創膏でカバーできる大きさなのですが、それを貼ってしまうと絆創膏が原因で傷口が広がり、最初の傷口の何倍もの大きさになって皮がむけてしまうことを何回か経験しました。
些細な水疱でもその後のケアが大変なことを本人は身にしみてわかっているので、石けんとのつきあいは、子ども自身も細心の注意を払ってきたと思います。
それなのに異性を気にするお年頃になると、「シャンプーの臭いがいや」「洗濯物の洗いあがりの臭いが嫌い」「制汗スプレーは違う匂いのものがいい」などと言い出すようになりました。
皮膚に刺激を与えないように安全に穏やかに、手探りでやってきたというのに、「匂い」の要素が加わるなんて想像もしていませんでした。
高校生になるとへアグリスやリップクリームなど、身だしなみを整えるのに必要なものも加わり、水疱が出ない、肌荒れしない、本人が気に入る香がするものを探すのは大変でした。
私はすっかり音を上げてしまいましたが、本人は学校の帰りにあちこち寄り道しながら、月ごとのおこずかいを使い切り何カ月もかけて、自分に適したアイテムをそろえていました。
それでも暴飲暴食をした後にアトピー性皮膚炎が広がってしまったときなどは、以前使っていた「安全」なもの以外は症状を悪化させてしまうので、本人のお気に入りを使うのは少しの間お休みすることもありました。
思春期の頃も小さい時とは少し様相は違いますが、一進一退の日々だったと思います。